■8/25 **悪夢の始まり**

コペンハーゲンからスウェーデンはマルメまで電車でゴトゴト30分。マルメから夜行電車でオスロへ。

オスロ着は朝7時。コペンハーゲンからさらに北へ来たことを実感する寒さ。もやもかかり、これからの旅の雲行きを暗示しているかのようでしたね。初めに書いておきましょう。おいらはノルウェーで物価の高さ、人の不親切さ、街の汚さ、フィヨルドの美しさ以外全てが嫌になりました、完全な主観ですが。

さて、この日はオスロに長居する日ではありません。寝台でScanRailパスを使っているので、このまま当日中に移動した方が俄然お得です。移動する先はあの有名なベルゲン…ではなく、スタバンゲル。ノルウェーには4大フィヨルドと呼ばれるものがあります。北からガイランゲルフィヨルド、ベルゲンを基点としたソグネフィヨルド、ハダンゲルフィヨルド、そして今回の目的地リーセフィヨルド。このリーセフィヨルドの基点となる街がスタバンゲルです。

このリーセフィヨルド、規模こそは他の3つに及ばないのですが、ここにはプレーケストレーンというこの世の物とは思えない素晴らしいものが待っています。まあ、それについては次の日ですよ。

さあ、夜行列車を降り、早速向かうは切符売場。コペンハーゲンでThomas Cookの時刻表を買っていたので、次のスタバンゲル行きの電車の発車時間は分かっていたのです。その時間7時11分。もう一度書きましょう。オスロ着は7時ジャストくらい。そして、オスロ中央駅は広いです。さらに、スーツケースをロッカーにしまわないといけません。はい、予想通り間に合いませんでした。間に合うわけない。次の電車は11時過ぎ。あーあ、やっちゃった。これがさらに悪いことを引き起こすこともつゆ知らず、まあ、オスロ多少歩いてみるかーと軽い気持ちでした…。

というわけで、まず朝のトイレへ。やってくれました、10NOKの有料トイレ。200円です…。そして、この時の監視役がクソ野郎だった。おいらはすごくトイレに行きたかったです。しかし、このとき当然着いたばかり、ノルウェークローネを持ってなかったんです。あとで絶対持ってくるからとりあえず入れてくれ!と言ってるのに通してくれません。結局両替マシーンへダッシュ。戻ってきてお金を払うと、ふっ、って鼻で笑われました…。この時が初めてのノルウェーショッキングincidentでした。さらに、予想通りトイレは全然キレイじゃないし。一体その200円は何に使われてるんだと問いたい。中央駅でトイレやって一人200円取ってたら相当な額もうけてると思うんだけど、あれは全部鉄道会社か駅がもらってるのかな、やっぱ。とりあえず、ありえねぇ200円のおしっこを終える。

そのあと、広い駅構内を朝飯探しに回る。高い。デンマークを越えてる…。本気で食えるもんがなくて、てか、あの値段を見ると食欲が全く沸かない。回転寿司のつもりに入ったのに、そこは高級寿司屋、1カン2000円なんて店でした、さすがに食欲もなくなってしまいました。こんな気持ちを想像していただければいいかと。ただ、コペンハーゲン中央駅よりガラは良かった。とりあえず、コペンハーゲン中央駅構内のタバコでもやがかかるってのには、オスロでは遭遇しなかった。

朝飯をスルーしつつ、軽く街へでる。あぁ、なんか美しくない街並みだ。コペンハーゲンは全建物に統一性をもたせていたのに対し、オスロは高層ビルと古くからのヨーロッパな街並みが混ざっちゃって、それが見事に共存できてなかった。軽く駅周辺を一周。途中カッパを買う。後々プレーケストレーンで気付くことだが、このカッパはフジロックで多数出現するただのビニール袋だった。安いと思って買ったのに大失敗。そりゃ安いよ。いや、たけぇよ。

駅に戻ってきて、さすがに腹が減った。結局食ったのは、セブンで焼きそばみたいなやつ。激まず。味は変だし、ぐっちゃぐっちゃしてるし、食いにくいし。またもコーラセットだからコーラもつけてしまったが、頼むからどっかにお茶は売ってないのかと。あー、そうだ、この頃からおかしかったんだ、俺のお腹。正確にはデンマークにいるときから少しおかしかった。飲み物を飲んだ後に、必ず少しお腹が痛くなってたんだよね。オスロは寒いし、このときのコーラがかなりお腹に効いたのを覚えてる。けど、俺は生まれてこのかた、腹痛ってものにそこまで悩まされたことがなかった気がする。お腹痛くなっても、一旦下痢してしまえば治ってしまうことがほとんどだった。今回もそんなもんだろうと思っていた。

さて、ノンビリしているとそろそろ時間だ。これから8時間の電車の旅。ベルゲンまでの電車は世界でも屈指の絶景を見れる路線として有名なのだが、このスタバンゲルまでの路線は景色が期待できる山岳地帯を避けて南の海沿いを沿って走っていく。しかし、景色も楽しめずに8時間も耐えられるわけがない。予想は良い意味で裏切られた。なんともキレイな景色がずっと続く。日本では決して見られないだろう景色が続く。北海道の自然ともまた違う感じ。所々小さな街?町?村?が現れては、また湖と森の世界へと。んー、さすが北欧。これぞ北欧。ちょこちょこ寝つつ、携帯で動物のゲームをしつつ、途中乗ってきたスケーターと会話を交わし過ごす。ちなみに、当たり前すぎて書いてなかったけど、デンマークといい、ノルウェーといい、英語めちゃうまです。俺が話した限り老若男女誰でも英語使えます。今いるフィンランドはフィンランド語が英語とかけ離れているせいか、老だと話せなかったりは結構あるんですが、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンはこの問題は全く無し。でもね、ずるいと思うの。ここらへんの言語ってほとんど英語と一緒じゃんよ。ちょっと文型が違うとか、単語が違うとか、それくらいでしょ。ふんだ、日本語話してみやがれってやんでぇ。

まあ、そんなこんなの道中、中間地点と言えるクリスチャンサン、なんとも素敵な街の名前ですが、この駅あたりから雲行きが怪しくなりました、えぇお腹の。さあ、始まりますよ、これからの悪夢が。とりあえず、このときはお腹が痛いって言うよりも、熱っぽいが始まりでした。どうも頭が体が重い、だるい。お腹もずっと黄色信号だ。そんな感じ。あぁ、きっとちゃんと栄養摂ってないからだー。明日は山登りなんだから今日のうちに治しちゃいたいなーと車内でましなご飯を食べることに。チキンカレーみたいなのとサラダ、お弁当サイズですが、お値段100クローネ。はい、2000円でございます。どうかしてるよ、この国、ほんと。仕方ない、体調を戻さねばと食う。

そして、食い終わる頃にはすっかり具合は悪くなっていました…。これはまずい。車掌さんに体温計はありますか?って聞いたら無いって言われた。いや、これさ。この後ずっと感じることなんですが、ノルウェーの人は「熱がありそうなんだ。風邪をひいたかもしれない。体温計持っていないですか?」と聞くと、必ず嫌な顔をされるんだ、風邪うつされたくないんだけど、みたいな顔して。これが一番悲しかった。え?大丈夫?なんて言ってくれる人見事に一人もいなかった。もうこの頃からすっかり冷たい国ねと冷めた目で見るようになる。なんでこんなキレイな景色が並ぶとこでこんな冷たい態度を取られるのだ、おいらは。悲しかったね。

そして、長い電車の旅に飽き飽きした頃、ようやくスタバンゲルに着く。11時発の19時40分着。余裕で40分オーバーをかましやがって、ツーリストインフォメーションは20時までという新たな問題にぶつかる。しかも具合も悪い。そして、ここから怒涛のバッドラックを体験。

まず、ダッシュでツーリストインフォメーションに行くも、地図の場所には無く、道行く人に聞いても、おかしいねー確かにここなのにねーなんて会話をしてるうちに20時オーバー。さて、どうしよう。そうそう、問題はね、宿をとってないわけよ。ヨーロッパはツーリストインフォメーションが発展しまくってるせいで、つい宿の予約なんてインフォメーション行ってから考えればいいやとなってしまう。だから、ツーリストインフォメーションが見つけられなくて、絶望感ただよう。まず、一つ目のバッドラック。

しかし、この手にはガイドブックってもんがある。インフォメーションなんて無くたって、自分で見つけてやる。公衆電話でこの街唯一のユースホステルに電話する。出ない…。一抹の不安を感じながらもしょうがないから直接行くことに。これが失敗だった。まず、多少距離があるとこで地図も無いのでタクシーを使うことに。初乗り40クローネ。5秒くらいで1クローネ上がってく。3kmくらいしか離れてないのに、結局100クローネ近く払うことに。2000円ね。どうなってんだ、この国は。二つ目バッドラック。

で、このタクシー運転手もひどいもんで、間違った場所で下ろしやがった。なんかその地域はキャンプ場と学生の長期お休みの合宿所?みたいなとことかが集まってるとこで、おいらが降ろされたとこはユースホステルの前ではなく学生寮の前でした。三つ目バッドラック。押せど引けど扉は開かず、ぐるりと一周してもどのドアも開かない。管理人らしき記述のインターフォンを押しても誰も出てこず。泣きそうになりながら立ち止まってると、中から人が!相談すると、ここは学生寮だってことが判明。そしてユースホステルはあっちだよと教えてくれました。あぁ、よかった。

ユースホステルはあまり離れたとこではなく、その宿泊施設の敷地内にあった。さあ、空き室あるといいなーと思いつつ玄関へ。あれ?開かないぞ?もう開かないドアはこりごり。また一周してみる。おかしいな、電気は付いてるのに。どこのドアも開かない。もう一度玄関まで戻ると、張り紙に気付く。今シーズンはもう終わりだよってね。空き室どこの騒ぎじゃねぇ。ユースホステル自体閉めやがった。四つ目バッドラック。

さあ、困った。こんな人里離れたとこで一人。どっかのキャンプに混ぜてもらうってのも考えたんだけど、とりあえず具合が悪いってのがあったから、ゆっくり室内で泊まりたかった。

で、タクシーも通っちゃいないこんなとこ、仕方ないから歩くことに。忘れちゃいけない、おいらは風邪っぴき野郎です。そして早い話、迷いました…。とことん迷いました…。標識を頼りに街の方へ向かっているんだけど、途中でStavangerがStavanger 0とかになって、これは一体なんだ??とか思ってるうちに地理感覚は完全におしゃか。しかもこの街、立体交差が盛んで歩行者は車道に沿ってなんか歩けやしない。歩道と車道の立体交差で、もう何やかんやら。ひたすら歩くは、おそらく2時間。バッドラック五つ目。

しかし、この道中、唯一のグッド出会いが。それは俺が泣きそうになりながら街への道を探しているとき、話しかけてくるおっちゃんが。「君どこに行くんだい?」「街だよ。」「街はこっちじゃないよ!」ということで、そのおっちゃんも街まで用があったようで一緒に行くことに。これが遠かった。おっちゃんはウォーキングはいいなーとか言ってたけど、俺は重いリュックを背負い、おまけに風邪持ち。バス停でも教えてくれればいいのにと思いつつ、楽しく会話…のフリをする。もうこれまでで、何度ここで野宿でいいやと思いつつも歩き続けたか。もうおいらの足は棒。

さらに歩くこと30分。もう時刻は22時過ぎ。ここまで日が長いおかげで真っ暗にならなかったことが唯一の救いでした。街へ到着。一緒に歩いたおっちゃんのことも深く知り(ノルウェー人じゃなくてパキスタン人、あぁどうりで親切なわけだ)、単身ノルウェーまで来たけど仕事が無くて、今は学生として勉強を始めて、けど妻とは別居で、今俺は車のトランクで寝てるんだって言ってた…。その話を聞いてから、最後に金でも請求されるのかちょっとビビッてた。

でも、そんなことなくて、すごい親切なおっちゃん。いろいろ街の安めのホテルとか教えてくれて、さらに付いてきてくれた。まあ、けどね、このバッドラック繋ぎ。まだまだ序章ですよ。当然まだ続きます。おっちゃんの教えてくれたホテルはことごとく満室。23時に数々のホテルが満室で追い出される気持ちとはどんなもんか。そりゃーもう、野宿を覚悟しますよ。はい、六つ目バッドラック。ホテル探しの旅はなんと24時過ぎまで続きました。何軒回ったんだろう。俺はもう限界で話すこともできなかったのに、おっちゃんはずっと一緒に歩き回って、道行く人に冷たくされながらもホテルを尋ねたりしてくれた。これまた、ノルウェー人冷たいんだ。たぶん安いホテルは無いか?とか、○○ホテルはどこか分かるか?とかそういったことを質問してるだけだと思うんだけど、相手は酔いも手伝ってか、「あーー?!」とか言う始末。棒になった足を抱えながらノルウェーの冷たさにがっかり。そして、ついに空室を見つけ、結局泊まったのはなんと1000クローネのホテル。2万円です。でもほんとに無かったんだ、他に。全部満室で。風邪引いてなければ野宿してただろうけど、今までの節約が全て無になる2万円のホテル。おっちゃんに何度も御礼を言い、入らせていただきました。

で、このホテルって言ったらないよ。ふつーのビジネスホテル、なんの変哲もないビジネスホテル。バスタブも無いし。日本で2万のホテルに泊まったら相当いいレベルいけると思うんだけど、この国ではビジネスホテルです。しかも帰ったら一気に具合が悪くなる。2万円を堪能するまでもなく寝てしまった。さあ、バッドラックはまだまだ続くので数をお忘れなく。

【Photo】

オスロ駅ホーム、夜行列車

200円のトイレ

世界の車窓から

世界の車窓から2

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